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特別養護老人ホーム(特養)の食材仕入れ先を見直すには? 食材費を抑える方法や業者選びのポイントについて解説

病院や介護施設の厨房では、慢性的な人手不足が大きな課題となっています。中には「求人を出しても応募が集まらない」「現在のスタッフの負担が大きく、離職が心配」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

人手不足を放置すると、スタッフへの負担だけではなく、給食の品質や施設の運営にも影響を及ぼす可能性があります。

そこで本記事では、厨房で人手不足が生じる原因や現場に与える影響、人手不足への対応方法、対策を進める際に確認したいポイントについて解説します。

【この記事で分かること】

● 食材費の高騰に対応するには、食事原価を把握した上で全体のコストを見直すことが重要である
● 仕入れ先の見直しや調理済み食材の活用などを組み合わせることで、給食にかかるコストの削減が期待できる
● 特養では、供給体制や介護食への対応力も踏まえて仕入れ先を選ぶことが求められる

特別養護老人ホーム(特養)における食材費高騰の現状

特別養護老人ホームでは、食材費の上昇が給食に関わる業務に大きな影響を与えています。その他、人件費や物流費なども増加しており、施設全体の負担は年々大きくなっている状況です。

ここでは、特養を取り巻く食材費高騰の現状について解説します。

食材費の高騰が続いている

特養では、全国的な物価上昇を背景に食材費の高騰が続いています。給食に使用する食材の価格が上昇しているため、多くの施設が給食にかかるコストの増加に直面しているでしょう。

総務省統計局の消費者物価指数によると、2021年6月と比較して食料全体の価格は約21.4%上昇しました。異常気象による農作物の不作や国際情勢の悪化などを背景に、卵や米、小麦、食用油といった主要食材が相次いで値上がりしています。

また全国老人福祉施設協議会の調査では、食材料費の高騰に対して65.3%の特養が何らかの対応を実施していると回答しています。この結果からも、食材費の高騰は一部の施設だけではなく、全国的な課題となっていることが分かるでしょう。

※参考:総務省統計局.「消費者物価指数(CPI)」.https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html ,(参照2026-07-14).

※参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会.「食費(基準費用額)及び食事サービスに関する調査結果の公開について」.https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-3&category=19326&key=25691&type=contents&subkey=594575 ,(参照2026-07-14).

給食部門の収支が厳しくなっている

食材費の上昇によって、特養の給食部門は厳しい収支状況に置かれています。実際の食費と制度上の基準費用額との差が広がり、多くの施設で赤字が発生している状況です。

2024年6月時点では、利用者一人一日当たりの食費実態は1,753.8円となっており、過去2年間で約91円増加しています。一方、介護保険制度における食費の基準費用額は2026年8月より1,545円となるため、一人一日当たり約208円の赤字が生じることとなります。

平均的な定員規模の特養では、月額約57万円の給食関連の赤字になる試算もあり、施設経営に与える影響は小さくありません。

※参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会.「特養の食費に対する物価高騰の影響」.https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/568569/1-2(参考資料)特養の食費に対する物価高騰の影響.pdf ,(2025-01-08).

※参考:厚生労働省.「介護保険法第五十一条の三第二項第二号に規定する居住費の負担限度額及び同法第六十一条の三第二項第二号に規定する滞在費の負担限度額の一部を改正する件について(通知)」.https://www.mhlw.go.jp/content/001673838.pdf ,(2026-03-13).

物価や人件費の上昇が施設運営の負担となっている

施設運営を圧迫しているのは、食材費だけではありません。物流費や人件費などの周辺コストも上昇しており、給食に関わる業務全体の負担が大きくなっています。

原油価格の高騰や円安によって輸入コストや物流費が増加し、その影響は食材価格にも反映されています。また最低賃金の引き上げや慢性的な人手不足による人件費の上昇は、食品価格や給食の委託費にも影響を与えています。

給食にかかる業務全体のコストを踏まえて対策を検討することが重要です。

特別養護老人ホーム(特養)の給食にかかるコストの目安と計算方法

食材費を抑えるためには、まず施設の給食にかかるコストを正しく把握することが重要です。感覚的に判断するのではなく、実際の数値を基に現状を分析すると、効果的なコスト削減策を検討しやすくなります。

ここでは、特養における給食にかかるコストの目安と、施設の食事原価を計算する方法について解説します。

1食あたりの食事原価の目安と内訳

特養の給食にかかるコストを見直す際は、食材費だけではなく人件費も含めて考えることが大切です。コストの内訳を把握すれば、改善すべきポイントを見つけやすくなります。

2024年6月時点の利用者一人一日当たりの食費実態は1,753.8円です。その内訳は、給食の材料費が918.7円、調理員の人件費が835.1円となっています。

このように、人件費は給食にかかるコスト全体の約半数を占めています。食材費だけを削減するのではなく、人件費を含めたトータルコストの視点で見直すことが重要といえるでしょう。

※参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会.「特養の食費に対する物価高騰の影響」.https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/568569/1-2(参考資料)特養の食費に対する物価高騰の影響.pdf ,(2025-01-08).

施設の食事原価を計算する方法

コスト削減を進めるためには、施設の食事原価を正確に把握する必要があります。その際は、実際に発生している費用を漏れなく集計しましょう。

1食当たりの食事原価は、以下の式で算出できます。

1食当たりの食事原価 = (月間の食材仕入れ総額 + 調理スタッフの人件費 + 厨房の光熱費 + 消耗品費など) ÷ 月間の実際の提供食数

計算する際は、廃棄した食材費や、施設全体の光熱費から切り分けた厨房分の光熱費も忘れずに計上しましょう。正確な原価を把握することが、その後のコスト見直しにつながります。

特別養護老人ホーム(特養)の食材費を抑えるための主な方法

給食にかかるコストを見直すためには、複数の取り組みを組み合わせるのが大切です。食材費だけではなく、人件費や業務負担も含めて見直せば、より効果的なコスト削減につながります。

ここでは、特養で実施しやすい4つの方法を紹介します。

食材の仕入れ先を見直す

食材費を抑える方法として、まず取り組みたいのが仕入れ先の見直しです。実際に、多くの特養でも仕入れ体制の見直しによってコスト削減を進めています。

全国老人福祉施設協議会の調査では、食材料費高騰への対応策として「仕入れ先を変更した」という回答が44.6%となっています。このことからも、仕入れ先の見直しは現場で実践されている代表的な取り組みといえるでしょう。

※参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会.「食費(基準費用額)及び食事サービスに関する調査結果の公開について」.https://www.roushikyo.or.jp/?p=we-page-menu-1-3&category=19326&key=25691&type=contents&subkey=594575 ,(参照2026-07-14).

※参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会.「特別養護老人ホームにおける食事サービス調査調査結果」.https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/594575/特別養護老人ホームにおける食事サービス調査%E3%80%80調査結果.pdf ,(参照2026-07-21).

調理済み食材を取り入れる

調理済み食材の活用は、食材費だけではなく、人件費や光熱費も含めた給食にかかるコスト全体を抑える方法の一つです。

調理済み食材は下処理や長時間の煮込み工程が不要なため、調理スタッフの作業時間を短縮できます。その結果、人件費の削減が期待できるでしょう。

また湯煎や再加熱だけで提供できる商品であれば、大型調理設備の稼働時間が短くなり、水道光熱費の削減にもつながります。

食材の発注や在庫管理を適切に行う

食材費を抑えるためには、日々の発注や在庫管理の徹底も欠かせません。小さな改善を積み重ねることで、コスト削減につながります。

例えば、使用量を正確に把握した上で発注量を設定し、消費期限を適切に管理すれば、余剰在庫や廃棄ロスを削減できます。

また栄養士や調理員だけではなく、介護職員にも食材費を共有し、施設全体で節約意識を高めることも重要なポイントです。特定の担当者だけではなく、施設全体で取り組むと、より継続しやすくなるでしょう。

国や自治体の補助金制度を活用する

食材費高騰への対応策としては、国や自治体の支援制度を活用する方法もあります。施設で利用できる制度がないか確認してみるとよいでしょう。

例えば、各自治体が実施する「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」などを活用し、食材費高騰による負担を軽減できる場合があります。

補助金を活用すれば、無理なコストカットによる食事の質の低下を防ぎながら、安定した給食の提供を維持しやすくなります。制度の内容や対象条件は自治体によって異なるため、最新の情報を確認することが大切です。

※参考:内閣官房・内閣府総合サイト地方創生.「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」.https://www.chisou.go.jp/tiiki/rinjikoufukin/juutenshien.html ,(参照2026-07-14).

特別養護老人ホーム(特養)の食材の仕入れ先を見直す主なメリット

食材の仕入れ先の見直しは、給食に関わる業務や施設の運営全体への負担軽減にもつながる取り組みです。

ここでは、仕入れ先を見直すことで期待できる主なメリットを、コスト・業務効率・給食の提供体制の3つの観点から解説します。

食材費の負担を軽減できる

仕入れ先を見直すことで、中間流通コストを抑えられ、食材費の負担軽減につながる場合があります。特に使用量の多い主食材は、見直しによる効果を得やすいでしょう。

例えば、卵や米など毎日使用する食材の仕入れ先を、直取引や業務用の仕入れへ切り替えると、中間マージンの削減が期待できます。単に価格の安い食材を選ぶのではなく、仕入れ方法そのものを見直すのが、給食にかかるコストを抑えるポイントです。

発注や管理業務を効率化できる

仕入れ先を見直すことで、発注や管理業務を効率化できる点もメリットです。日々の事務作業を減らせるため、現場スタッフの負担軽減にもつながります。

幅広い食材をまとめて取り扱う業者へ切り替えれば、複数の仕入れ先へ発注する手間を減らせます。発注業務だけではなく、納品確認や請求書の管理などの業務も効率化しやすくなるでしょう。

安定した給食の提供につながる

仕入れ先を見直すことは、食事の質を維持しながら安定した給食の提供にもつながります。例えば、食材のランクを下げたり品数を減らしたりするのではなく、流通経路や仕入れ業者を見直しコスト削減を図れば、利用者へ提供する食事の質を維持しやすくなります。

コスト削減と食事の質の維持を両立するのは、利用者に安心して食事を提供し続けるためにも重要な考え方といえるでしょう。

食材の仕入れ先業者を選定・見直す際に確認したいポイント

食材の仕入れ先を見直す際は、価格だけで判断しないことが大切です。給食に関わる業務全体への影響も考慮しながら、施設に合った業者を選ぶ必要があります。

ここでは、仕入れ先を選定・見直す際に確認したい5つのポイントを紹介します。

まとめて発注しやすい体制が整っているか

仕入れ先を選ぶ際は、発注を一本化しやすい体制が整っているかを確認しましょう。先述したように、取引先を集約することで、複数業者への発注や納品時の検品、請求書の確認などにかかる手間を減らせます。

また冷凍食品・冷蔵品・常温食材・日配品など、温度帯の異なる商品をまとめて配送できる業者であれば、発注や納品管理をさらに効率化しやすくなるでしょう。

供給体制や配送体制が安定しているか

特養では毎日食事を提供するので、供給体制や配送体制の安定性を確認することも欠かせません。欠品や納品遅れが発生すると、給食の提供へ大きな影響を与えます。

そのため、物流拠点や在庫連携の仕組みが整っているかを確認しておきましょう。また欠品リスクが少なく、急な発注変更にも柔軟に対応しやすい体制かどうかも確認しておくと安心です。

品質管理や衛生管理体制は万全か

食材費だけを重視して仕入れ先を選ぶのは避けましょう。品質管理や衛生管理体制も重要な判断基準です。

コスト削減を優先し過ぎると、品質の低い食材を使用することになり、利用者の健康へ影響する恐れがあります。業者を選ぶ際は、食品衛生基準への対応状況やトレーサビリティなどの管理体制を事前に確認するとよいでしょう。

介護食への対応や献立提案などが充実しているか

仕入れ先を選ぶ際は、価格だけではなく、特養ならではの食事ニーズへ対応できるかも確認しましょう。

例えば、常食だけではなく、きざみ食・ソフト食・ミキサー食など、多様な食形態に対応できる食材を取り扱っているかを確認すると安心です。また献立作成や季節・行事食の提案などのサポートがあれば、栄養士の負担軽減やメニューのマンネリ化防止にもつながります。

食事の質や利用者満足度を維持できるか

コスト削減を進める際は、食事の質や利用者満足度を維持できるかを確認することも重要なポイントです。

価格だけを優先すると、利用者満足度の低下につながる可能性があります。例えば、品数を減らしたり、安価な代替食材ばかりを使用したりすると「フルーツが減った」「魚がパサつく」といった苦情につながる場合があるでしょう。

また安価な食材を使用する場合でも、面前調理による演出や食器を工夫すれば、食事を楽しめる環境づくりができます。コスト削減と利用者満足度の両立を意識することが大切です。

食材費を見直し、安定した給食の提供体制を整えよう

特別養護老人ホーム(特養)の食材費を見直すためには、まず施設の食事原価を正確に把握し、食材費だけではなく人件費や発注業務も含めたトータルコストを見直すことが重要です。

また継続的に給食にかかるコストを改善していくためには、施設に合った食材の仕入先を選び直すことが欠かせません。価格だけで判断せず、一括配送や介護食への対応、品質管理体制なども含めて検討しましょう。

株式会社ニッカネでは、冷凍・冷蔵・常温の三温度帯に対応した一括配送をはじめ、通常食材から介護食・ソフト食までまとめて仕入れられる体制を整えています。また献立作成や行事食の提案なども行い、給食に関わる業務の負担軽減をサポートしています。コストや仕入れ体制の見直しをご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【参考URL】
https://www.narikoma-group.co.jp/article/hospital-ingredients-cost
https://inden-seminar.com/blog/20250804-2-document/
https://kaisyuf.jp/kfcolumn/20250402-0090/
https://doctormate.co.jp/blog/newscolumn250109-3
https://www.izumo-mirai-foods.jp/column/29
https://kodawari-chef.com/kswp/blog/10030/
https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/568569/1-2%EF%BC%88%E5%8F%82%E8%80%83%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%89%E7%89%B9%E9%A4%8A%E3%81%AE%E9%A3%9F%E8%B2%BB%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E7%89%A9%E4%BE%A1%E9%AB%98%E9%A8%B0%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF.pdf
https://kokoro-foods.com/kaigo-shisetsu-shokuji-genka-keisan/

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