病院給食のコストを削減するには? 食材の仕入れ方法と見直す際の注意点をチェック

病院給食では、入院患者の状態に合わせた食事を毎日安定して提供する必要があります。しかし近年は、食材費や水道光熱費、人件費などが上昇しており、給食部門のコスト負担が大きくなっています。
こうした中でコスト削減を進めるには、食材の単価だけを見るのではなく、調理工程や発注・請求管理などにかかる負担も含めて見直すことが大切です。
本記事では、病院給食のコスト負担が増している背景やコストが増えやすい原因、食材の仕入れ方法を見直すポイントについて解説します。併せて、コスト削減を進める際の注意点や仕入れ先の選び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 病院給食では、食材費や人件費などの上昇分を提供価格に反映しにくく、コスト管理の重要性が高まっている
- 代替食材や完全調理品の活用、仕入れ先の見直しがコスト削減につながる
- 仕入れ先は価格だけではなく、食材の品質や供給体制、発注・納品にかかる負担まで確認して選ぶ
目次
- 病院給食のコスト負担が増している背景
- 食材費や水道光熱費が上昇している
- 最低賃金の引き上げにより人件費が増加している
- 食事療養費が定められており価格に反映しにくい
- 病院給食のコストが増えやすい主な原因
- 生鮮食材の仕込みで廃棄ロスが発生しやすい
- 厨房内の調理工程が多くなりやすい
- 採用や労務管理の負担が生じる
- 病院給食のコスト削減につながる仕入れの見直し方
- 価格が安定しやすい代替食材を活用する
- 完全調理品やクックチルを活用する
- 食材の仕入れ先を集約する
- 病院給食でコスト削減を進める際の注意点
- 食材の安全性やアレルギー情報を確認する
- 治療食に必要な栄養基準を維持する
- 食事の質や満足度を考慮して見直す
- 調理スタッフと事前に情報を共有する
- 病院給食の食材仕入れ先を選ぶ際のポイント
- 安定して食材を供給できる体制が整っているか
- 一般食材から治療食・介護食までまとめて調達できるか
- 代替食材やメニューを提案してもらえるか
- 病院給食のコスト削減に向けて食材の仕入れ方法を見直そう
病院給食のコスト負担が増している背景
病院給食では、食材費や水道光熱費、人件費など、食事を提供するために必要な費用が上昇しています。
まずは、病院給食のコスト負担が増している主な背景について確認していきましょう。
食材費や水道光熱費が上昇している
病院給食のコスト負担が増している要因の一つが、食材費や水道光熱費の上昇です。原材料価格や輸送費などの影響を受け、肉や魚、野菜をはじめとした給食用食材の仕入れ費用は増えやすくなっています。
また病院給食では、多くの食事を決められた時間に提供するので、調理や食器の洗浄などを毎日行います。冷蔵・冷凍設備も継続して稼働させる必要があり、電気やガス、水道の料金上昇も負担につながるでしょう。
最低賃金の引き上げにより人件費が増加している
最低賃金の引き上げが続いているのも、病院給食の人件費を押し上げる要因です。調理スタッフやパート職員の賃金水準が上がると、日々の給食運営にかかる人件費も増加します。
特に病院給食では、朝食・昼食・夕食を毎日提供するため、調理や盛り付け、洗浄などを担うスタッフを継続して確保しなければなりません。勤務時間や必要な人員数が一定程度必要になる分、賃金の上昇による影響も受けやすくなります。
食事療養費が定められており価格に反映しにくい
病院給食では、増加したコストを食事の提供価格にそのまま反映することが難しいという事情もあります。入院中の食事には、健康保険法に基づく「入院時食事療養費」が設けられており、厚生労働大臣が定める基準に沿って費用が算定されるからです。
そのため、一般の飲食店のように、食材費や人件費の上昇に応じて医療機関が自由に価格を変更することはできません。こうした価格設定の仕組みも、病院給食のコスト負担が増えやすい背景の一つとなっています。
病院給食のコストが増えやすい主な原因
病院給食のコストを見直すためにも、まずは日々の給食運営で費用が増えやすい主な原因を確認していきましょう。
生鮮食材の仕込みで廃棄ロスが発生しやすい
生鮮食材を厨房で下処理する場合、仕入れた量を全て料理に使用できるわけではありません。例えば、野菜の皮や芯、魚の骨など、調理時に取り除く部分が生じます。
そのため、仕入れ価格が安くても、実際に使用できる量を踏まえるとコストが高くなる場合があるでしょう。また生鮮食材は保存できる期間が限られており、食数の変動によって使い切れなければ廃棄につながる可能性もあります。
仕入れた食材を十分に使い切れないことが、結果として食材コストの増加につながります。
厨房内の調理工程が多くなりやすい
厨房内で行う調理工程が多い点も、病院給食のコストが増えやすい原因です。病院給食では、食材の下処理から加熱、盛り付けまで多くの工程を厨房内で行います。
また患者の状態に応じて治療食や食形態を調整する場合は、食事内容ごとに作業が分かれることもあるでしょう。工程が増えるほど、調理スタッフの作業時間が長くなったり、必要な人員が増えたりする可能性があります。
工程が多いほど、調理スタッフの作業時間だけではなく、加熱や洗浄に使用する水道光熱費も増えやすくなります。このように厨房内の調理工程が多いことも、病院給食のコストが増える原因の一つです。
採用や労務管理の負担が生じる
直営給食では、人件費そのものに加えて、人材を確保・管理するための負担も生じます。病院が調理スタッフや栄養士などを直接雇用し、採用や教育、人員配置、シフト管理まで行う必要があるからです。
特に人員が不足すると、採用活動が長期化したり、欠員を補うために追加の人員を確保したりなど、新たな費用が生じる可能性があります。また急な欠勤があれば、既存スタッフのシフト調整も必要になるでしょう。
このような対応が増えるほど、給食運営にかかる負担も大きくなりやすいです。コストを把握する際は、日々の人件費だけではなく、採用や欠員対応まで含めた人員体制にも目を向けましょう。
病院給食のコスト削減につながる仕入れの見直し方
病院給食のコストを削減するには、食材の仕入れ方法を見直すことが大切です。食材の選び方や調達方法を工夫することで、食材費や調理にかかる人件費や水道光熱費、発注・管理に伴うコストの削減につながる場合があります。
ここでは、病院給食のコスト削減につながる仕入れの見直し方を紹介します。
価格が安定しやすい代替食材を活用する
食材費の変動を抑えるには、価格が高騰した食材を別の食材に置き換える方法があります。生鮮食材は天候や収穫量などによって価格が変動するため、価格や供給状況に応じて代替できる食材をあらかじめ検討しておくとよいでしょう。
例えば、使用している食材の価格が上昇した場合は、献立への影響を確認しながら、別の食材や冷凍野菜、加工済み食材などへの置き換えを検討します。複数の選択肢を持っておけば、特定の食材が高騰した場合でも献立を維持しやすくなるでしょう。
また保存性の高い商品を取り入れれば、食数の変動による廃棄を抑えやすくなります。価格や供給状況を見ながら代替食材を使い分けることが、食材費の見直しにつながります。
完全調理品やクックチルを活用する
人件費や水道光熱費などを抑える方法として、完全調理品やクックチルを活用する方法もあります。あらかじめ調理・加工された食材を取り入れると、仕込みや加熱などの工程を減らせるためです。
調理工程が減れば、スタッフの作業時間を短縮しやすくなり、人件費の抑制につながる場合があります。また加熱や洗浄の回数が減れば、水道光熱費の削減も期待できるでしょう。
完全調理品やクックチルを検討する際は、食材の価格だけではなく、調理に必要な人員や時間、水道光熱費まで含めてコストを確認するのがポイントです。
食材の仕入れ先を集約する
複数の仕入れ先を利用している場合は、取引先を集約することで仕入れにかかる管理コストを抑えられる可能性があります。取引先が多いほど、業者ごとに発注や納品対応、検収、請求処理などが必要になるためです。
例えば、一般食材や冷凍食品、治療食などをまとめて取り扱う業者を利用すれば、これまで取引先ごとに行っていた手続きを一本化しやすくなります。
発注や納品対応、請求処理の回数を減らせれば、スタッフの作業時間を抑えられ、人員や業務時間にかかるコストの削減につながるでしょう。
病院給食でコスト削減を進める際の注意点
病院給食のコスト削減を進める際は、費用を抑えることだけを優先すると、安全性や栄養面、食事の質などに影響する可能性があります。また食材や調理方法の変更によって、スタッフの作業負担が増える場合もあるでしょう。
ここでは、安全性や食事の質を保ちながらコスト削減を進めるための4つの注意点を解説します。
食材の安全性やアレルギー情報を確認する
食材を見直す際は、新たに使用する商品の原材料や保存方法、アレルギー情報などを事前に確認することが大切です。
特に代替食材や加工食品に変更する場合は、従来の商品と原材料や規格が異なる可能性があります。確認が不十分なまま置き替えると、保存方法や調理方法が合わなかったり、アレルギー対応に漏れが生じたりする恐れもあるでしょう。
商品仕様書などを確認し、現在の保管方法や調理工程で安全に取り扱えるかを確かめた上で切り替えるのがポイントです。
治療食に必要な栄養基準を維持する
病院給食では、食材を見直した後も、患者の状態や治療方針に応じた食事を提供できることが前提となります。
安価な食材や代替食材を取り入れる場合は、エネルギー量や塩分量などの栄養成分に変化がないかを確認しましょう。同じ種類の食品でも商品によって成分や規格が異なるため、置き換えた結果、献立全体の栄養価に影響する場合があります。
食材を変更する際は、管理栄養士が栄養成分や使用量を確認し、必要な栄養基準を維持できるかを判断することが重要です。
食事の質や満足度を考慮して見直す
コストを抑えるために食材を変更する場合も、味や見た目、食べやすさへの影響を考慮する必要があります。食事内容が大きく変わり、患者の食事量が低下してしまっては、適切な見直しとはいえません。
そのため、全ての食材を一律に変更するのではなく、コストを抑えやすい部分と食事の質を重視する部分を分けて考えるのも一つの方法です。例えば、日常的に使用する食材には冷凍・加工食材を取り入れる、行事食などでは献立内容を重視するといった調整が考えられます。
限られた予算の中でも、患者が継続して食事を取りやすい内容を維持しながら、食材や献立ごとの予算配分を見直しましょう。
調理スタッフと事前に情報を共有する
食材を変更する際は、実際に調理を担当するスタッフへの事前共有が必要です。使用する食材が変わると、仕込み方法や加熱時間、盛り付けなどの作業手順も変わる可能性があります。
また食材費を抑えられても、これまでより調理工程が増えれば、作業時間や人員の負担が大きくなることもあるでしょう。このような状況を防ぐには、切り替え前に変更内容や調理方法を共有し、必要に応じてサンプルを使って作業手順を確認しておくと安心です。
現在の人員や厨房設備で無理なく対応できるかどうかを確認した上で導入しましょう。
病院給食の食材仕入れ先を選ぶ際のポイント
食材の仕入れ先を見直す場合は、必要な商品を継続して調達できるか、施設で使用する商品を幅広く取り扱っているかなどを確認する必要があります。
最後に、病院給食の仕入れ先を選ぶ際に確認したい3つのポイントを確認していきましょう。
安定して食材を供給できる体制が整っているか
仕入れ先を選ぶ際は、年間を通して必要な食材を安定して納品できるかの確認欠かせません。
具体的には、在庫体制や配送エリア、欠品した場合の代替対応などを確認しましょう。また災害や物流トラブルが発生した際に、どのような方法で供給を継続するのかも確認しておきたいポイントです。
通常時の価格が安くても、必要な食材を継続して調達できなければ、急な献立変更や別の仕入れ先への発注が必要となり、現場の負担が増える可能性があります。安定した食事提供を維持するためには、状況が変化した場合でも食材の供給を続けられる仕入れ先を選ぶことが大切です。
一般食材から治療食・介護食までまとめて調達できるか
病院給食では、一般的な食材だけではなく、治療食や嚥下状態に配慮した食品など幅広い商品を使用します。仕入れ先を選ぶ際は、自施設で使用する商品を取り扱っているかどうかを確認しましょう。
例えば、冷凍・冷蔵・常温の商品を幅広く取り扱い、一括して配送できる仕入れ先であれば、複数の業者に分かれていた発注や納品対応を集約しやすくなります。取引先が減ることで、発注や検品、請求処理などにかかる手間の軽減も期待できるでしょう。
現在、複数の仕入れ先を利用している場合は、利用している仕入れ先と取扱商品を整理し、どの程度まで取引先をまとめられるかを検討してみましょう。
代替食材やメニューを提案してもらえるか
仕入れ先を選ぶ際は、施設の課題に応じた提案を受けられるかも確認したいポイントです。
例えば、食材価格が上昇した際に代替食材を提案してもらえれば、献立を大きく変更せずに仕入れコストを調整しやすくなります。また厨房の人手不足に悩んでいる場合、カット済み食材や完全調理品などの提案を受けた結果、調理工程を減らせる可能性があります。
また予算や季節、使用したい食材などに合わせてメニューを提案してもらえる仕入れ先であれば、献立作成や食材選定にかかる負担の軽減にもつながるでしょう。
病院給食のコスト削減に向けて食材の仕入れ方法を見直そう
病院給食では、食材費や水道光熱費、人件費の上昇によってコスト負担が増加しています。
コスト削減を進める際は、代替食材や完全調理品・クックチルの活用、仕入れ先の集約など、施設の課題に合った方法を検討しましょう。また仕入れ先は、安定して食材を供給できる体制が整っているか、幅広い商品をまとめて調達できるか、施設の課題に応じた提案を受けられるかなどを確認して選ぶのがポイントです。
株式会社ニッカネでは、一般食材から介護食まで幅広い商品を取り扱っている他、冷凍・冷蔵・常温の商品をまとめて配送できる体制を整えています。また完全調理品やクックチルなど幅広い商品の取り扱いに加え、献立作成やメニュー提案にも対応しています。病院給食のコストや仕入れ方法にお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。