【事例付き】特養で給食委託が多いのはなぜ? メリット・デメリットや業者の選び方まとめ

特養では、入居者の状態に応じた食事を提供する必要があります。常食だけではなく、きざみ食やミキサー食などへの対応に加え、調理スタッフの確保や衛生管理も欠かせません。そのため、施設だけで給食に関する業務を担うと、現場の負担が大きくなりやすいでしょう。
こうした負担を軽減する方法として、給食会社への全面委託や部分委託があります。また食材配送を活用する方法も選択肢の一つです。
本記事では、特養で給食委託が活用される理由や主な委託方法について解説します。さらに、給食委託を活用するメリット・デメリットや委託業者を選ぶ際のポイントについても紹介します。
【この記事で分かること】
- 特養では、食事の個別対応や人員管理などの負担を軽減するために給食委託が活用されている
- 全面委託・部分委託・食材配送では、外部に任せる業務の範囲や施設側で行う業務が異なる
- 委託業者を選ぶ際は費用の他、食事形態への対応や供給体制、衛生管理体制について確認する
目次
- 特養で給食委託が多く活用されるのはなぜ?
- 特養で活用される給食委託の主な方法
- 特養で給食委託業者を活用する4つのメリット
- 食材調達のコストを抑えやすい
- 食材管理の負担を軽減できる
- 専門的な衛生管理を任せやすい
- 災害時なども食事提供を継続しやすい
- 特養で給食委託を活用する主なデメリット
- 入居者の要望を反映しにくい
- 急な食数やメニュー変更に対応しにくい
- 厨房設備の管理は施設側に残る
- 特養向けの委託業者を選ぶ際のポイント
- 嚥下状態に応じた食事形態や治療食に対応できるか
- 施設規模や対応エリアに合ったサービスを提供しているか
- 食事内容や行事食が充実しているか
- 費用体系と依頼できる業務範囲が明確か
- HACCPに沿った衛生管理や従業員研修を行っているか
- 給食や食材調達の見直しによって課題を改善した事例
- 仕入先を集約し、食材管理の負担を軽減した事例
- 完全調理品を活用し、調理体制を見直した事例
- 特養の課題に合わせて給食委託の活用を検討しよう
特養で給食委託が多く活用されるのはなぜ?
特養では、入居者の状態に合わせた食事を毎日継続して提供する必要があります。常食だけではなく、きざみ食やミキサー食、治療食など、個別の状態に応じた対応も欠かせません。
さらに、決まった時間に食事を提供するためには、調理スタッフの確保やシフト管理が必要です。衛生管理も継続して行わなければならず、施設が担う給食業務の負担は大きくなりやすいでしょう。
こうした負担を軽減する方法として、給食会社への委託をはじめとした外部のサービスが活用されています。
特養で活用される給食委託の主な方法
特養で活用される給食委託には、主に全面委託・部分委託・食材配送があります。外部に任せる業務の範囲が異なるため、それぞれの特徴を把握し、施設の人員体制や課題に合った方法を選びましょう。
全面委託
全面委託は、給食に関する一連の業務を給食会社に任せる方法です。献立作成や食材調達、調理、食器洗浄、厨房の衛生管理などの業務をまとめて委託できます。
実際に委託する業務の範囲は、給食会社との契約内容によって異なります。そのため、どこまで任せられるかを事前に確認することが大切です。
調理スタッフの配置や管理も任せられる契約であれば、施設側で人材を確保したり、シフトを管理したりする負担も軽減しやすくなるでしょう。
部分委託
部分委託は、給食に関する業務の一部だけを外部の会社に任せる方法です。施設側で行う業務と、外部に任せる業務を分けられる点が特徴といえます。
例えば、献立作成や栄養管理は施設側で行い、調理や食器洗浄を給食会社に委託する方法があります。委託する業務は施設ごとに調整できるので、人員体制や給食運営の課題に応じた役割分担が可能です。
食材配送
食材配送は、あらかじめ調理・加工された食材を施設に届けてもらう方法です。冷蔵や冷凍の状態で届いた食材を、施設で加熱・盛り付けして提供します。
一から調理する工程を減らしやすく、厨房スタッフの作業負担を軽減できる点が特徴です。一方で、利用するサービスによっては、食材を保管する設備や再加熱に必要な機器を確認しておく必要があります。給食に関する業務を直営しながら、厨房の調理工程を見直したい施設でも活用できる方法です。
特養で給食委託業者を活用する4つのメリット
委託業者を活用することで、施設側が担う給食業務の負担を軽減できる場合があります。ここでは、特養で委託業者を活用する4つのメリットを見ていきましょう。
食材調達のコストを抑えやすい
委託業者によっては、複数の施設で使用する食材をまとめて仕入れており、施設が個別に調達する場合よりも仕入れ条件を見直しやすい場合があります。その結果、食材の仕入れにかかるコストを抑えやすくなるでしょう。
ただし、利用するサービスによっては、委託費や配送費なども発生します。そのため、食材単価だけを比較するのではなく、委託費や配送費なども含め、給食運営にかかる費用全体を確認することが大切です。
食材管理の負担を軽減できる
必要な食材をまとめて仕入れられる業者を活用すると、食材管理に関する業務を効率化しやすくなります。
肉・魚・野菜などを複数の仕入先から調達している場合、それぞれに発注や納品対応、検品などが必要です。請求書も取引先ごとに確認する必要があり、仕入先が増えるほど管理する業務も複雑になりがちです。
そこで、幅広い食材をまとめて発注できる業者に取引を集約すれば、対応する業者数を減らせます。発注から請求までの流れを整理しやすくなり、施設側の管理負担の軽減にもつながるでしょう。
専門的な衛生管理を任せやすい
給食会社に業務を委託すると、専門的なノウハウを生かした衛生管理を取り入れやすくなるのがメリットです。
食品を扱う事業者にはHACCPに沿った衛生管理が求められています。給食会社では、衛生管理の手順を定め、スタッフへの衛生教育や清掃・消毒、食品の取り扱いなどを管理している場合があります。
実際に任せられる業務は契約内容によって異なるため、事前の確認が必要です。衛生管理の記録やスタッフ教育まで委託範囲に含まれていれば、施設側が管理する業務も軽減できるでしょう。
災害時なども食事提供を継続しやすい
緊急時の供給体制を整えている業者を活用すると、災害や物流トラブルが発生した際にも食事提供を継続しやすくなります。
例えば、複数の物流拠点や在庫を持つ業者であれば、一部の拠点から配送できない場合でも、別の拠点から食材を確保できる可能性があるでしょう。給食会社によっては、備蓄食を用意したり、近隣の事業所と協力したりする体制も整えています。
非常食の提案や緊急時の配送方法まで確認しておけば、災害時の食事提供に備えられるでしょう。
特養で給食委託を活用する主なデメリット
給食委託は、施設側の負担を軽減しやすい一方、外部に業務を任せることで生じる制約もあります。契約後のミスマッチを防ぐためにも、事前に主なデメリットを確認しておきましょう。
入居者の要望を反映しにくい
給食に関する業務を委託すると、入居者や施設からの要望をその場で食事に反映しにくい場合があります。給食委託では、契約内容を基に、あらかじめ決められた献立や調理工程に沿って食事を提供するためです。
例えば、入居者から味付けやメニューについて要望があっても、施設側だけで変更できるとは限りません。委託業者に内容を共有し、対応できるかどうかを確認した上で調整する必要がある場合も考えられます。
要望への対応範囲や相談方法は業者によって異なるので、契約前に確認しておくことを推奨します。
急な食数やメニュー変更に対応しにくい
給食委託では、直前の食数や食事内容の変更に対応できる範囲が限られる場合があります。給食会社は事前に必要な食数を確認し、献立や食材の準備、調理工程を組んで食事を提供しているためです。
そのため、急な入退所による食数の変更や、入居者の体調変化に伴う食事形態の変更にすぐ対応できないケースもあります。万が一の場合に備え、変更を受け付ける期限や追加費用の有無などを事前に確認しておくと安心です。
厨房設備の管理は施設側に残る
委託業者に給食に関する業務を委託しても、厨房設備の管理まで全て任せられるとは限りません。施設が所有する厨房を使用する場合、設備の点検や修繕などは施設側が担うケースがほとんどです。
日常的な清掃や手入れを委託業者が行っていても、冷蔵庫や調理機器などが故障すれば、施設側に修理や交換の費用が発生する可能性もあるでしょう。設備に関する管理範囲や費用負担については、契約前に役割分担を明確にしておく必要があります。
特養向けの委託業者を選ぶ際のポイント
委託業者によって、対応できる食事形態やサービス内容、費用体系などは異なります。そのため、施設に必要な条件を整理した上で比較することが大切です。
ここでは、特養向けの委託業者を選ぶ際のポイントを解説します。
嚥下状態に応じた食事形態や治療食に対応できるか
特養では、かむ力や飲み込む力、抱えている疾患など、入居者の状態に合った食事を提供できる業者を選ぶ必要があります。
まずは、きざみ食やソフト食、ミキサー食、やわらか食など、施設で必要な食事形態に対応しているかどうかを確認しましょう。また治療食やアレルギー対応が必要な場合は、対応できる範囲や個別調整の方法についても確認が必要です。
施設規模や対応エリアに合ったサービスを提供しているか
委託業者を選ぶ際は、施設の規模や所在地に対応できるかどうかを確認しましょう。施設の規模や食数によって、必要な食材の供給量や人員体制は異なります。
給食会社に調理業務を委託する場合は、必要な人数の調理スタッフを配置できるかを確認しましょう。また食材配送を利用する場合は、必要な食数を安定して供給できるか、自施設が配送エリアに含まれているかも確認が必要です。
食事内容や行事食が充実しているか
特養では、価格や業務効率だけではなく、提供される食事の内容も確認することが欠かせません。
業者を比較する際は、味や食べやすさ、見た目など、食事内容が自施設の入居者に合っているかどうかを確認しましょう。可能であれば、契約前に試食を行うと実際の食事を確認しやすくなります。
さらに、正月やひな祭りなどの季節の行事食や、イベントに合わせた食事に対応できるかも確認したいポイントです。通常の献立だけではなく、食事を楽しんでもらうための提案内容まで比較しておくとよいでしょう。
費用体系と依頼できる業務範囲が明確か
給食委託では、費用の内訳と依頼できる業務の範囲を契約前に確認することが重要です。同じ給食委託でも、業者によって料金体系や対応範囲は異なります。
見積もりでは、食材費や人件費、管理費など、どのような費用が含まれているかをしっかりと確認しましょう。併せて、献立作成や食材調達、調理、食器洗浄、衛生管理など、委託業者が担う業務と施設側に残る業務を整理しておくことが大切です。
複数社から見積もりを取る際は、委託する業務の範囲をそろえ、同じ条件で費用を比較しましょう。
HACCPに沿った衛生管理や従業員研修を行っているか
委託業者を選ぶ際は、HACCPに沿った衛生管理を行っているか、調理スタッフへの研修体制が整っているかを確認することが大切です。
衛生管理については、HACCPに沿った手順や記録方法が定められているか、厨房内を定期的にチェックする体制があるかを確認しましょう。衛生管理を継続して行える仕組みが整っていることが重要です。
またスタッフに対して、衛生管理や調理技術に関する研修を継続して実施しているかも確認したいポイントです。衛生管理の仕組みだけではなく、現場で適切に実践できる教育体制まで確認しましょう。
給食や食材調達の見直しによって課題を改善した事例
最後に、仕入先の集約や完全調理品の活用によって、給食運営の課題を改善した事例を紹介します。
仕入先を集約し、食材管理の負担を軽減した事例
エリアや施設ごとに異なる食材業者と取引していたため、仕入先の管理が複雑になっていた企業の事例です。
商品の取扱数やバラ出荷への対応などを踏まえ、複数の食材業者から株式会社ニッカネ1社に仕入先を集約しました。取引先をまとめたことで、発注や食材の管理を行いやすい体制につながっています。
さらに、複数施設で統一したメニューを導入する際にも、同じ食材を調達しやすくなりました。仕入先の集約は、管理業務の負担だけではなく、複数施設で食材を統一する際にも役立つ方法です。
完全調理品を活用し、調理体制を見直した事例
食材費が年々上昇する中、人件費を抑えるため、調理師がいなくても提供しやすい献立を検討していた企業の事例です。
株式会社ニッカネからあらかじめ調理された完全調理品の活用を提案しました。完全調理品は、施設では加熱や盛り付けを中心に対応できるため、一から調理する場合と比べて作業工程を減らしやすい点が特徴です。
まずは日曜日の献立に取り入れることで、完全調理品を活用した献立サイクルを整えました。その後、茨城だけではなく、埼玉・群馬エリアの事業所にも同じ運用を展開できる体制を構築し、調理人員に左右されにくい給食運営の見直しにつながっています。
特養の課題に合わせて給食委託の活用を検討しよう
特養の給食運営を見直す際は、給食会社に全面委託・部分委託するだけではなく、直営を維持しながら食材配送を活用する方法もあります。施設の人員体制や現在抱えている課題を整理し、必要な部分からこのようなサービスを取り入れるとよいでしょう。
また委託業者を選ぶ際は、費用だけで判断しないようにしましょう。必要な食事形態への対応、食材の供給体制、依頼できる業務の範囲、衛生管理体制などを総合的に比較する必要があります。
株式会社ニッカネでは、介護食から通常食材まで幅広く取り扱っており、複数の食材をまとめて仕入れられる体制を整えています。仕入先を集約することで、発注や納品対応、食材管理などの負担を軽減しやすくなるでしょう。またあらかじめ調理された完全調理品も扱っているため、調理スタッフの負担を軽減したい場合にも活用いただけます。食材の仕入れ方法や給食に関する業務負担を見直したい場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。