老人ホームで食材の仕入れ先を見直すメリットとは? 業者選びのポイントや注意点を解説

老人ホームで食材の仕入れ先を見直すメリットとは?

老人ホームの給食の運営では、食材価格や物流費の上昇により、コストの負担が大きくなっています。そのため「現在の仕入れ先を継続してよいのか」「仕入れ方法を見直すべきか」と悩む方もいるのではないでしょうか。

食事の質や安定した供給体制を維持しながら、コストを抑えるには、食材の仕入れ先を見直すのも選択肢の一つです。ただし、価格だけではなく、取り扱う食材や配送条件なども含めて検討する必要があります。

本記事では、老人ホームで食材の仕入れ先の見直しが検討されている理由やメリット、仕入れ業者を選ぶポイント、見直す際の注意点について解説します。

【この記事で分かること】

  • 食材の仕入れ先を見直すことで、コストや厨房スタッフの業務負担を抑えやすくなる
  • 加工済み食材や完全調理品を活用すると、厨房内の調理工程を減らしやすい
  • 仕入れ業者は価格だけではなく、食材の種類や配送条件、供給体制なども比較する必要がある

目次

老人ホームで食材の仕入れ先の見直しを検討する理由

老人ホームでは、食材価格や物流費などのコストの負担が増えています。こうした負担を見直すため、食材の仕入れ先の変更や集約などの見直しを検討する施設もあるようです。

ここからは、食材の仕入れ先の見直しが検討される主な理由を3つ見ていきましょう。

原材料価格や輸入コストが上昇しているため

原材料価格や輸入コストの上昇は、老人ホームの給食にかかるコストを圧迫する要因の一つです。世界的な物価上昇や天候不順、円安などの影響を受け、食材の調達にかかる負担が大きくなっています。

全国老人福祉施設協議会の資料によると、2024年11月の消費者物価指数における「食料」は、2021年6月比で21.4%増加しました。また2024年6月の利用者1人1日当たりの食費は1,753.8円である一方、第4段階以上の利用者の食費設定額は平均1,533.6円で、54.2%の施設が基準費用額と同額の1,445円に設定しています。

食事の提供にかかる費用が増えていても、その分を利用者の食費にそのまま反映するのは難しい状況です。こうした背景から、食材の仕入れ先や仕入れ方法の見直しが検討されています。

物流費が上昇しているため

燃料価格や人件費などの上昇により、食材の配送にかかる物流コストも増えています。物流費が商品価格や配送料に反映されれば、食材そのものの価格だけではなく、仕入れ全体にかかる費用も増えやすくなるでしょう。

また仕入れ先によって送料の体系や配送ルート、納品頻度などの条件は異なります。同じ食材を仕入れる場合でも、こうした条件によってかかる費用が変わる可能性があるため、仕入れ先や仕入れ方法を見直すなどの対応が進められているのです。

多品種・小ロットの配送で負担が増えやすいため

老人ホームでは、利用者の嚥下機能や健康状態などに応じて、さまざまな食材を用意する必要があります。通常食に加え、きざみ食やペースト食、治療食などにも対応しなければならないため、多品種・小ロットでの仕入れになりやすいでしょう。多くの食材を少量ずつ仕入れる場合、発注回数や配送回数が増え、送料や手数料がかさみやすいです。

また複数の業者から仕入れている場合は、それぞれの発注や納品への対応が必要です。こうした負担を見直すため、必要な食材をまとめて調達できる仕入れ先に集約する方法が検討されています。

老人ホームで食材の仕入れ先を見直すメリット

食材の仕入れ先を見直すと、コスト面だけではなく、食事の質や厨房スタッフの負担にも良い影響が期待できます。ここからは、食材の仕入れ先を見直す以下のメリットを紹介します。

  • 食材の仕入れコストを抑えやすくなる
  • 食事の質や満足度を維持しやすくなる
  • 厨房スタッフの業務負担を軽減できる

食材の仕入れコストを抑えやすくなる

食材の仕入れ先を見直すメリットの一つが、仕入れにかかるコストを抑えやすくなることです。食材そのものの価格だけではなく、送料や手数料、発注ロットなども含めて条件を比較し、より費用負担の少ない仕入れ先を検討できるためです。

例えば、現在と同等の品質を保ちながら、より費用負担の少ない条件で食材を調達できる仕入れ先が見つかる可能性があります。食材の品質を維持しつつ仕入れにかかる費用を抑えられれば、限られた予算を有効に活用しやすくなるでしょう。

その結果、食材費が上昇する中でも、給食の運営にかかるコストの負担を抑えながら安定した食事提供を続けやすくなります。

食事の質や満足度を維持しやすくなる

仕入れ先を見直すと、食事の質や利用者の満足度を維持しやすくなる点もメリットです。価格だけではなく、食材の品質や供給の安定性も踏まえて、施設のニーズに合った仕入れ先を検討できます。

品質や供給が安定した食材を継続的に確保できれば、提供する食事の品質も一定に保ちやすくなるでしょう。また取り扱う食材の種類が豊富な業者であれば、利用者の嗜好や嚥下機能、健康状態などに応じた食事にも対応しやすくなります。

食材費が上昇する中でも、価格だけで判断せず、品質や品ぞろえなども含めて仕入れ先を見直すことで、食事の質を保ちながら利用者の満足度にも配慮した食事提供をしやすくなります。

厨房スタッフの業務負担を軽減できる

食材の仕入れ先の見直しは、厨房スタッフの業務負担を軽減することにもつながります。発注や納品、食材管理などの仕入れに関する業務を、より効率的に行える体制を整えやすくなるためです。

例えば、必要な食材を安定して供給できる業者に見直せば、欠品時の代替品の手配など、突発的な対応を減らせる可能性があります。また複数の業者とのやり取りを整理できれば、発注や納品に伴う管理の負担も抑えやすいでしょう。

こうした仕入れ業務の負担を軽減できれば、限られた人員でも給食に関するさまざまな業務を進めやすくなります。削減できた時間を盛り付けや利用者への個別対応など、他の厨房業務に時間を充てやすくなる点もメリットです。

老人ホームで食材の仕入れ業者を選ぶポイント

食材の仕入れ業者は、価格だけで判断するのではなく、複数の条件を総合的に比較することが大切です。ここからは、仕入れ業者を選ぶための具体的なポイントを解説します。

介護食や治療食に対応しているか

仕入れ業者を選ぶ際は、施設で必要な介護食や治療食を取り扱っているかどうかを確認しましょう。老人ホームでは、利用者の咀嚼・嚥下機能や健康状態に応じて、異なる食事を提供する必要があるためです。

例えば、常食だけではなく、軟菜食やきざみ食、ソフト食、ペースト食などへの対応可否を確認します。またアレルギー対応食や減塩食、エネルギー調整食なども取り扱っているかどうかの確認が必要です。

その際は、商品の種類が多いかではなく、現在施設で必要としている食事を継続して調達できる業者かどうかを確認しましょう。

加工済み食材や完全調理品を扱っているか

厨房の人員体制や調理工程を見直したい場合は、加工済み食材や完全調理品などを取り扱っているかどうかも確認したいポイントです。

加工済み食材には、あらかじめ洗浄や皮むき、カットなどが行われた野菜や、下処理済みの肉・魚などがあります。こうした食材を取り入れれば、施設では下処理の工程を省き、その後の加熱調理などから始められます。

また完全調理品は、あらかじめ調理・殺菌された料理を冷凍やチルドの状態で仕入れるものです。施設では再加熱や盛り付けなどを中心に行うため、一から調理する場合と比べて厨房で必要となる工程を減らしやすくなります。

現在と同じ未加工食材を仕入れることだけを前提にせず、厨房でどこまで調理を行うのかも踏まえて、必要な加工度の商品を取り扱っているかを確認するとよいでしょう。

必要な食材をまとめて仕入れられるか

複数の仕入れ先との取引を整理したい場合は、候補となる業者が施設で必要な商品をどこまで取り扱っているかの確認が欠かせません。

主食や主菜、副菜に使用する食材の他、調味料、おやつ、デザートなど、現在仕入れている商品と業者の取扱商品を照らし合わせます。行事食に使用する商品がある場合は、それらも含めて確認するとよいでしょう。

必要な食材を同じ業者から仕入れられれば、複数に分かれていた発注先や納品日、請求先などをまとめやすくなります。発注や納品に関する管理の手間を減らせる他、配送回数や送料などの見直しにつながる可能性もあるでしょう。

例えば、現在3社から仕入れている食材のうち、2社分を一つの業者から調達できれば、部分的に仕入れ先を集約できます。取扱商品数そのものではなく、現在の仕入れのうち、どの範囲まで同じ業者にまとめられるかを確認することがポイントです。

発注ロットや配送条件が施設に合っているか

必要な食材を取り扱っていても、発注や配送の条件が合わなければ、継続して利用しにくい場合があります。そのため、食材の発注ロットや配送条件が、施設の運用に合っているかどうかも確認しましょう。

例えば、発注ロットが大き過ぎると、入居者数や献立に対して必要以上の食材を仕入れることになり、使い切れない食材を在庫として抱える可能性があります。

また配送曜日や配送頻度、時間指定の可否なども確認する必要があります。配送頻度が少ない場合は、一度に多くの食材を保管する必要があり、冷蔵庫や冷凍庫の保管スペースを圧迫する可能性があります。納品時間が調理や配膳の時間帯と重なると、食材の受け入れや検品に対応するスタッフの負担が増えることもあるでしょう。

発注条件と配送条件の両方を比較し、施設のスケジュールに合った体制かどうかを判断しましょう。

安定した供給体制が整っているか

老人ホームでは継続して食事を提供する必要があるため、必要な食材を安定して届けられる供給体制が整っているかどうかも重要なポイントです。

例えば、天候不良や自然災害、原材料不足などが起こると、予定していた食材を確保できない場合があります。そのようなときに代替商品を提案できるか、別の調達ルートから食材を確保できるかなどを事前に確認しておくことが大切です。

また欠品や配送遅延が発生した際の連絡体制に、どのタイミングで施設に連絡が入るのかも確認しておきたいポイントです。早めに状況を把握できれば、献立の変更や代替食材の準備など、施設側でも対応しやすくなります。

衛生・安全管理の体制が整っているか

高齢者が口にする食材を仕入れるため、衛生・安全管理の体制も確認する必要があります。その際は、製造段階だけではなく、食材の保管や配送まで適切に管理されているかを確認しましょう。

特に冷蔵品や冷凍品は、保管中や配送中の温度管理が品質や安全性に関わります。適切な温度帯を保ったまま配送できる体制があるか、保管場所や配送車両の衛生管理が行われているかなども確認しておくとよいでしょう。また異物混入や食材の取り違えなどを防ぐために、製造・出荷時のチェック体制が整っているかもポイントです。

さらに、万が一食材に問題が発生した場合に備え、原材料や製造・流通経路を追跡できるトレーサビリティの体制が整っているかも確認しておきましょう。問い合わせや商品の回収などの対応体制も確認しておくとより安心です。

老人ホームで食材の仕入れ先を見直す際の注意点

食材の仕入れ先を見直す際は、食材の単価だけではなく、給食の運営にかかるトータルコストの確認が必要です。食材費の他、調理にかかる人件費や下処理の手間、水道光熱費なども考慮しましょう。

例えば、食材自体が安くても、洗浄や下処理、調理に多くの工程が必要な場合があります。厨房スタッフの作業時間が増えれば、その分だけ人件費の負担も大きくなるでしょう。また施設内で行う作業が多いほど、水道光熱費にも影響します。

施設内で必要となる作業まで含め、仕入れから提供までにかかる費用を総合的に確認することが重要です。

食材の仕入れ先を見直し、食事の質と安定した施設運営につなげよう

老人ホームで食材の仕入れ先を見直す際は、価格だけではなく、必要な商品の取り扱い有無や発注ロット、配送条件、供給体制などを踏まえて総合的に検討することが大切です。

仕入れ業者を比較する際は、加工済み食材や完全調理品を取り扱っているか、必要な食材をまとめて仕入れられるかなども確認しましょう。施設に合わせて見直すことで、食事の質を保ちながら、より効率的な給食の運営につなげやすくなるでしょう。

株式会社ニッカネでは、肉・魚・野菜などの通常食材に加え、ソフト食やきざみ食などの介護食や、加工済み食材、完全調理品など幅広く取り扱っています。さらに、冷凍・冷蔵・常温の商品をまとめて配送できる体制が整っているため、複数の食材や商品を一つの仕入れ先に集約したい場合にも対応可能です。食材の仕入れ先や仕入れ方法の見直しをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。