介護施設における介護食の提供方法を比較! 外部サービスのメリットや業者選びのポイント

介護施設では、利用者の健康状態やかむ力・飲み込む力に合わせて、安全性や栄養バランスに配慮した介護食を提供することが欠かせません。しかし、食事形態によって調理方法や工程が異なるため、厨房スタッフの業務負担に悩む施設もあるでしょう。
こうした課題に対応するには、直営給食や委託給食に加え、完全調理品の活用など、施設の状況に合った提供方法を検討することが大切です。
本記事では、介護食の重要性や主な種類、給食の提供方法について解説します。外部サービスを活用するメリットや業者の選び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
● 利用者のかむ力や飲み込む力に応じた介護食は、低栄養や誤嚥などのリスクを軽減するために役立つ
● 介護食の提供方法には直営・委託の他、完全調理品の活用や施設内調理との併用があり、それぞれ特徴が異なる
● 外部サービスを活用すると厨房の業務負担を軽減しやすく、業者選びでは食事形態への対応や衛生管理、供給体制などの確認が重要となる
目次
- 介護施設における介護食の重要性
- 介護施設で提供される介護食の主な種類
- きざみ食
- ソフト食(やわらか食・軟菜食)
- ミキサー食・ペースト食
- ゼリー食・ムース食
- 介護施設における給食の主な提供方法
- 直営給食
- 委託給食
- 完全調理品の活用
- 施設内調理と完全調理品の併用
- 介護施設で外部サービスを活用する主なメリット
- 厨房スタッフの業務負担を軽減できる
- 栄養バランスや季節感に配慮した献立を提供しやすくなる
- 食事の品質や安全性を確保しやすくなる
- 介護施設における給食委託会社や食材業者の選び方
- 介護施設への給食提供や食材納入の実績があるか
- 利用者に合わせた介護食や食事形態に対応できるか
- 衛生管理や品質管理の体制が整っているか
- 緊急時にも食事を提供できる体制が整っているか
- サービス内容や費用が施設の運営方針に合っているか
- 介護施設に適した介護食の提供方法を選ぼう
介護施設における介護食の重要性
介護施設で介護食が重要とされるのは、利用者が安全に食事を取り、必要な栄養を摂取できるようにするためです。
加齢や病気によってかむ力や飲み込む力が低下すると、通常の食事では食べにくくなる場合があります。その結果、食事量が減少すると、必要な栄養を十分に摂取できず、低栄養につながる恐れがあるでしょう。また食べ物が気管に入り込む「誤嚥」や、喉に詰まる「窒息」のリスクも高まります。
こうしたリスクを軽減するため、介護食では食材の硬さや大きさ、まとまりやすさなどを調整します。利用者が無理なく食事を取れることは、食べる楽しみを維持する上でも重要です。
介護施設で提供される介護食の主な種類
介護食には、利用者の咀嚼・嚥下機能に応じて、食材の硬さや形状を調整したさまざまな種類があります。
ここでは、介護施設で提供される代表的な介護食の種類と、それぞれの特徴について解説します。
きざみ食
きざみ食とは、通常の食事に使う食材を細かく刻み、かむ力が低下した利用者でも食べやすいように調整した食事形態です。
食材を小さくすると、かむ際の負担を軽減できる一方、口の中で食材がばらばらになり、飲み込みにくい場合があります。そのため、利用者の嚥下機能に応じて、とろみのあるあんを絡めるなど、食材をまとめる工夫が必要です。
ソフト食(やわらか食・軟菜食)
ソフト食とは、加熱や加工によって食材を軟らかくし、かむ力や飲み込む力が低下した利用者でも食べやすいように調整した食事形態です。煮込み調理などによって食材の形を残しながら軟らかく仕上げる方法もあり、通常の食事に近い見た目を保ちやすいといった特徴があります。
ただし、調理方法によって食材の硬さやまとまりやすさが異なるので、利用者の咀嚼・嚥下機能に合わせて調整する必要があります。
ミキサー食・ペースト食
ミキサー食・ペースト食とは、調理した食材をミキサーなどで細かくし、なめらかな状態に加工した食事形態です。かむ力が飲み込む力が著しく低下した利用者でも食べやすい点が特徴です。
一方で、元の食材の形が分かりにくくなるので、彩りや盛り付けなど、見た目への配慮も欠かせません。また水分が多く、さらさらした状態では飲み込みにくい場合もあります。そのため、利用者の嚥下機能に応じて、水分量やとろみを調整することが大切です。
ゼリー食・ムース食
ゼリー食・ムース食とは、食材をなめらかに加工し、ゲル化剤などを使って固めた食事形態です。食材が口の中でばらばらになりにくく、利用者の嚥下機能に合わせて硬さやまとまりやすさを調整できる点が特徴です。
また食材の形に近づけて成形すれば、見た目にも配慮できます。ただし、硬さやまとまりやすさによっては飲み込みにくくなる場合もあるため、利用者の状態に適した仕上がりになるよう調理方法の工夫が欠かせません。
介護施設における給食の主な提供方法
介護施設の給食には、施設が直接運営する直営給食と、外部の専門会社に業務を委託する委託給食があります。その他、完全調理品を活用する方法も選択肢の一つです。
ここでは、それぞれの提供方法の特徴や注意点について解説します。
直営給食
直営給食とは、施設が調理スタッフや栄養士を直接雇用し、献立作成から食材の仕入れ、調理、配膳までを自ら管理する方法です。
献立や調理内容を施設内で決められるため、利用者の体調や嗜好に合わせて献立や食事形態を柔軟に調整しやすくなります。また施設独自の食事方針や行事食なども取り入れやすいでしょう。
一方で、スタッフの採用・教育やシフト管理、衛生管理なども施設が担う必要があります。人材確保や日々の運営管理にかかる負担が大きくなりやすい点は、デメリットといえるでしょう。
委託給食
委託給食とは、献立作成や食材の仕入れ、調理、配膳など、給食に関わる業務の一部または全てを外部の給食会社に委託する方法です。
給食会社の専門知識や運営ノウハウを活用できる他、委託する範囲に応じて、施設側の人員管理や厨房運営の負担を軽減しやすい点が特徴です。
ただし、委託できる業務の範囲は契約内容によって異なります。利用者の状態に応じた食事形態の変更や献立の調整などに制約が生じる場合もあるので、個別対応をどこまで任せられるかを契約前に確認しておきましょう。
完全調理品の活用
完全調理品の活用とは、あらかじめ調理・味付けされた食材を仕入れ、施設内で再加熱や盛り付けなどを行って提供する方法です。
食材の下処理や味付け、加熱調理などの工程を減らせるので、調理スタッフが不足している施設でも食事を準備しやすくなります。
ただし、商品によって保管温度や再加熱の方法が異なるため、施設の冷蔵・冷凍設備や調理機器で対応できるかどうかを確認する必要があります。
施設内調理と完全調理品の併用
施設内調理と完全調理品の併用は、施設での調理を続けながら、一部の献立に調理済み食材を取り入れる方法です。
例えば、調理に手間がかかる主菜には完全調理品を使用し、副菜や汁物などは施設内で調理する方法があります。手作りの食事を残しながら、負担の大きい調理工程を減らせます。
また完全調理品を取り入れる献立や曜日を調整できるため、施設の人員体制に合わせた運用が可能です。直営給食を維持しながら、必要な部分の調理業務を効率化したい場合にも取り入れやすいでしょう。
介護施設で外部サービスを活用する主なメリット
介護施設では、給食委託会社や食材業者のサービスを活用することで、厨房の業務負担の軽減や食事内容の充実につなげられます。
ここでは、外部サービスを活用する主なメリットについて解説します。
厨房スタッフの業務負担を軽減できる
外部サービスを活用すると、施設内で行う業務を減らせるので、厨房スタッフの負担を軽減しやすくなります。調理業務を委託する場合、契約内容によってはスタッフの採用やシフト管理も任せられるため、施設側の人員管理にかかる負担も減らせるでしょう。
一方、直営給食を維持する場合でも、完全調理品を取り入れれば、仕込みや加熱調理などの工程を減らせます。これにより、限られた人員でも日々の給食業務を進めやすくなります。
栄養バランスや季節感に配慮した献立を提供しやすくなる
介護施設では、利用者に必要な栄養を確保するだけではなく、毎日の食事に変化をつける工夫も大切です。献立作成やメニュー提案に対応した外部サービスを活用すれば、こうした献立づくりを進めやすくなります。
例えば、管理栄養士による献立提案を参考にすれば、施設の栄養基準や利用者の食事形態に配慮したメニューを検討できるでしょう。
また旬の食材を使った商品や行事食を取り入れると、献立のバリエーションを増やせます。季節感のある食事の提供は、利用者が毎日の食事を楽しむきっかけにもなります。
食事の品質や安全性を確保しやすくなる
衛生管理や品質管理の体制が整った外部サービスを活用すると、食事の品質や安全性を確保しやすくなる点もメリットです。
例えば、給食会社に調理業務を委託すれば、専門的なノウハウを生かした衛生管理を取り入れられます。また適切な温度管理の下で製造・配送された完全調理品を使用すれば、食事の品質を一定に保ちやすくなるでしょう。
ただし、外部サービスを利用しても、施設内での食材の保管や再加熱、配膳などには適切な管理が必要です。業者との役割分担を明確にし、施設側でも必要な衛生管理を継続して行いましょう。
介護施設における給食委託会社や食材業者の選び方
介護施設で外部サービスを選ぶ際は、介護食への対応力や衛生管理、費用などを総合的に比較することが重要です。
給食委託会社や食材業者を選ぶ際に確認したい5つのポイントについて解説します。
介護施設への給食提供や食材納入の実績があるか
介護施設では、利用者の身体状況に合わせた食事の提供が求められます。そのため、高齢者施設の給食運営に関する知識や経験を持つ業者を選びましょう。
例えば、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどへの給食提供や食材納入の実績を確認すると、どのような施設に対応してきたかを把握できます。具体的な導入事例も参考にしながら、自施設と似た課題への対応経験があるかを確認しましょう。
利用者に合わせた介護食や食事形態に対応できるか
介護施設では、利用者ごとに必要な食事形態が異なるため、自施設で提供している介護食に対応できる業者を選ぶ必要があります。
まずは、きざみ食やソフト食、ミキサー食など、施設で必要な食事形態を扱っているかどうかを確認しましょう。アレルギーや疾患に伴う食事制限についても、個別対応の可否や条件を把握しておくと安心です。
さらに、サンプルや試食を利用できる場合は、味付けや食感、食材の形状なども確かめるとよいでしょう。利用者の状態や施設の食事方針に合った商品を提供できるかどうかを総合的に判断することが大切です。
衛生管理や品質管理の体制が整っているか
安全な給食を提供するためには、業者の衛生管理や品質管理の体制を確認することが欠かせません。
給食委託会社の場合は、HACCPに沿った衛生管理の実施状況やスタッフへの衛生教育体制などを確認しましょう。食材業者の場合は、食材の製造・保管・配送時に適切な温度管理が行われているかが重要な確認事項です。
また異物混入や品質に関する問題が発生した場合の連絡方法や対応手順も確認しておく必要があります。日常的な管理だけではなく、問題が発生した際の対応体制も事前に把握しておきましょう。
緊急時にも食事を提供できる体制が整っているか
介護施設では、災害や感染症が発生した場合でも、利用者に必要な食事を継続して提供することが求められます。そのため、給食業者を選ぶ際は、緊急時にどのような対応ができるかを確認しておく必要があります。
例えば、食材の供給が滞った際に、代替品の手配や配送ルートの変更などに対応できるかを確かめましょう。併せて、非常食の提案や備蓄に関する相談ができるかも確認しておきたいポイントです。
給食委託会社の場合は、調理スタッフの急な欠員に対応できる人員体制があるかも確認し、緊急時の食事提供に備えることが大切です。
サービス内容や費用が施設の運営方針に合っているか
給食業者を選ぶ際は、費用の安さだけで決めず、提供されるサービスの内容が施設の運営方針に合っているかを確認することが重要です。
給食委託会社を利用する場合は、委託できる業務の範囲や管理費、人件費などを確認しましょう。また食材業者を利用する場合は、食材費や配送費に加え、献立作成などのサポート内容も確認しておくとよいでしょう。
直営給食を維持したいのか、給食業務を幅広く委託したいのかによっても、必要なサービスは異なります。施設の運営方針を踏まえ、費用と必要なサービスのバランスを比較するのがポイントです。
介護施設に適した介護食の提供方法を選ぼう
介護施設では、利用者の咀嚼・嚥下機能や健康状態に合わせた介護食を提供することが大切です。直営給食や委託給食の他、完全調理品を活用する方法もあるため、施設の人員体制や運営方針を踏まえて検討しましょう。
株式会社ニッカネでは、通常食材から介護食、完全調理品まで幅広く取り扱っています。さまざまな種類の介護食をそろえている他、調理の負担を軽減するための完全調理品もまとめて仕入れられるので、施設の運営方針に合わせて活用いただけるのが特徴です。
献立の提案にも対応しており、日々のメニュー作成にかかる負担を軽減したい場合にも役立ちます。介護食の提供方法や給食の運営方法の見直しをご検討の際は、ぜひ一度お問い合わせください。