介護施設の人手不足は業務改善で解消しよう! 対応するメリットや具体的な方法を解説

介護施設の人手不足は業務改善で解消しよう!

介護現場では慢性的な人手不足が続いており、職員一人ひとりの業務負担が大きくなっています。人材の確保も重要ですが、介護記録などの周辺業務や、給食に関する業務などにも手間がかかっている場合は、業務の進め方そのものを見直すことも必要です。

本記事では、介護施設で人手不足が生じる原因や業務改善を進めるメリット、具体的な方法について解説します。

【この記事で分かること】

  • 人手不足に対応するには、人材の確保と並行して業務改善を進めることが重要である
  • 介護ソフトや介護助手などを活用すると、職員が本来の介護業務に集中しやすくなる
  • 給食に関する業務は、調理・食材調達・献立作成を見直すと、限られた人員でも運営しやすくなる

目次

介護施設における人手不足の現状

介護施設では、人材の確保が大きな課題となっています。公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、人材について「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した介護事業所は64.7%と示されており、多くの事業所が人材の不足を感じていることが分かります。

また厚生労働省によると、2040年度に必要な介護職員は約272万人とされ、2022年度の約215万人と比べて、約57万人多い介護職員を確保する必要があると推計されています。

介護サービスの需要が高まる中、新たな人材の採用だけでは、安定した施設運営が難しくなるでしょう。必要な人材の確保と並行して既存業務を見直し、限られた職員でも業務を進めやすい体制を整えることが重要です。

介護施設が人手不足になりやすい主な原因

介護施設の人手不足には、日々の業務負担や勤務環境など複数の要因が関係しています。ここでは、介護施設が人手不足になりやすい主な原因について詳しく見ていきましょう。

介護記録や情報共有に手間がかかる

介護施設では、利用者の状態やケア内容を記録し、職員間で共有する業務が欠かせません。しかし、こうした介護記録や情報共有に手間がかかると、職員の事務負担が大きくなりやすいです。特に手書きで記録した内容を別の帳票に転記したり、申し送りのために同じ情報を複数箇所に入力したりすると、二重入力が発生する場合があります。

利用者へのケアと事務作業の両方を担う状態が続けば、職員の疲労や不満が蓄積しやすくなるでしょう。その結果、職員の定着を妨げる一因となり、人手不足につながる可能性があるのです。

介護職員に周辺業務が集中しやすい

施設によっては、介護職員が利用者へのケアだけではなく、清掃やベッドメイキング、食事の配膳、洗濯などの周辺業務も担っている場合があります。

いずれも施設の運営に必要な業務ですが、介護職員に幅広い作業が集中すると、一人当たりの業務量が増えやすくなります。こうした環境が続けば、身体的・精神的な負担が大きくなり、離職につながる可能性もあるでしょう。

さらに職員が減ると、残った職員がより多くの業務を担うことになります。業務負担の増加によって人材が定着しにくくなる悪循環が生じ、人手不足の長期化にもつながります。

夜勤時の職員への負担が大きい

24時間体制で利用者を支える介護施設では、夜勤を含む交代制勤務が必要です。夜勤では、少人数で複数の利用者を見守り、巡回や緊急時の対応を行う場合もあります。そのため、職員の身体的・精神的な負担が大きくなりやすいでしょう。

また日中とは異なる時間帯で働くこと自体を負担に感じる人もいます。夜勤に対応できる人が限られると、採用できる人材の幅が狭まり、人材を確保しにくくなる場合もあるでしょう。夜勤への負担感が離職につながり、結果的に人材の確保と定着の両面で人手不足を招く要因となります。

人間関係や評価制度に悩みやすい

介護現場では複数の職員が連携してケアを行うため、人間関係やコミュニケーションの状態が働きやすさに影響しやすいです。

職員によってケアの進め方や考え方が異なる他、申し送りや情報共有が十分でない場合には、認識のずれが生じることもあります。また上司や同僚に悩みを相談しにくい環境では、人間関係によるストレスをより抱え込みやすくなるでしょう。

さらに、仕事への取り組みや能力を評価する基準が分かりにくいと、自分の働きがどのように評価されているのか把握しにくくなります。昇給・昇進などのキャリアパスが見えにくい場合も、将来への不安や仕事への不満につながることがあるでしょう。

こうした職場環境への不満が続くと、職員の定着を難しくし、人手不足の一因になる可能性があります。

調理スタッフを確保しにくい

介護施設では毎日決まった時間に食事を提供する必要があり、調理スタッフの勤務時間に制約が生じやすいです。

施設内で調理をする場合は、食事の提供時間から逆算して準備を進めるので、早朝からの勤務が求められることもあるでしょう。早朝勤務やシフト制に対応できる人が限られると、応募できる人材の幅が狭まり、必要な調理スタッフを確保しにくくなる場合があります。

人員が不足しても日々の食事提供を止めることはできません。そのため、既存の調理スタッフに業務が集中し、負担の増加から、さらに人材が定着しなくなる可能性もあります。

介護施設で業務改善を進めることで得られるメリット

介護施設で業務改善を進めると、職員の負担軽減の他、介護サービスや給食に関する業務にも良い影響が期待できます。ここでは、業務改善によって得られる主なメリットを確認していきましょう。

人材の定着につなげやすくなる

業務改善は、現在働いている職員が継続して働きやすい環境を整える上でも重要です。業務負担を抑え、残業時間を減らせれば、仕事以外の時間も確保しやすくなります。

仕事とプライベートを両立しやすくなることで、身体的・精神的な負担の軽減も期待できるでしょう。働きやすい環境づくりは、負担を理由とした離職の抑制にもつながります。

日々の業務に無理なく取り組める環境を整えることは、職員の働きやすさや仕事への納得感を高め、長く働き続けてもらうための土台づくりにつながります。

職員一人当たりの業務負担を軽減できる

業務改善を進めると、職員一人当たりの業務負担を軽減できます。重複した作業や必要以上に手間のかかる工程を見直せば、限られた勤務時間でも業務を進めやすくなるためです。

例えば、同じ内容を複数回記録する作業を減らせれば、一つひとつの業務にかかる時間を短縮できます。業務を効率的に進められるようになれば、残業時間の削減も期待できるでしょう。

また身体的な負担の大きい作業を見直すことも、職員の負担軽減につながります。日々の負担を抑えられれば、無理なく働き続けやすい職場環境を整えられます。

介護職員が専門業務に集中しやすくなる

介護職員の業務負担を軽減すると、利用者へのケアなど本来の介護業務に時間を充てやすくなるでしょう。業務に追われる状態を見直せば、利用者一人ひとりの状態に目を向けやすくなるはずです。

また必要な情報を職員間で共有しやすい仕組みにすると、利用者の状態変化にも気付きやすくなります。職員同士が共通認識を持つことで、状況に応じた対応もしやすくなるでしょう。

業務改善によって介護職員が専門業務に集中できる時間を確保できれば、より丁寧なケアや介護サービスの質の向上も期待できます。

安定した食事提供につなげやすくなる

給食に関する業務を見直すと、利用者への安定した食事提供につながります。作業手順を整理したり、調理の負担を軽減したりすると、限られた人員でも業務を進めやすくなるためです。

例えば、調理方法や盛り付け、食形態への対応などが特定の職員の経験や判断に依存していると、その職員が欠勤・退職した際に、ほかの職員がすぐに対応できない場合があります。結果として、調理や配膳に遅れが生じるなど、食事提供に影響する可能性もあるでしょう。

こうした業務の手順を標準化し、誰でも対応しやすい体制を整えておけば、急な欠勤や人員の入れ替わりがあっても業務を引き継ぎやすくなります。毎日の食事提供を特定の職員だけに頼らない体制をつくることで、人手が限られる状況でも安定した給食運営につなげやすくなります。

介護施設の業務改善を進めるための具体的な方法

人手不足に対応するには、採用だけではなく、限られた人員でも業務を進めやすい体制を整えることが重要です。

例えば、介護ソフトや見守りセンサーなどを導入する他、職員が働き続けやすい環境づくりをしたり、給食に関する業務の支援サービスを活用したりする方法があります。具体的な方法を詳しく見ていきましょう。

介護ソフトや介護助手の活用

介護職員の負担を軽減する方法として、介護ソフトや介護助手の活用が挙げられます。

介護ソフトを活用すると、介護記録や職員間の情報共有をデジタル化できます。紙への記録や転記にかかる手間を減らせるため、限られた職員でも業務を進めやすくなるでしょう。介護記録のデジタル化は、記録時間の削減や円滑な情報共有につながります。

また介護助手を配置し、清掃やベッドメイキング、配膳などを分担する方法もあります。周辺業務を介護助手が担えば、介護職員は利用者への専門的なケアに時間を充てやすくなるでしょう。

このように、介護記録や情報共有の効率化と周辺業務の分担を進め、介護職員が本来の業務に集中しやすい体制を整えましょう。

見守りセンサーや衝撃吸収床の導入

夜間の見守りにかかる負担を軽減するには、見守りセンサーを活用する方法があります。見守りセンサーを活用すると、利用者の起き上がりや離床などの動きを把握しやすくなります。必要なタイミングで対応できるようになるので、夜間の巡回や見守りにかかる負担の軽減につながるでしょう。

また衝撃吸収床などを取り入れ、転倒時に受ける衝撃を和らげる方法もあります。けがのリスクを抑える環境を整えると、見守りに伴う職員の心理的な負担軽減も期待できます。

ただし、こうした設備だけで利用者の安全を確保できるわけではありません。あくまでも職員による見守りを補助する設備として活用することが大切です。

キャリアパスの整備と定期面談の実施

職員が働き続けやすい環境を整えるには、キャリアの見通しを持てる仕組みづくりも重要です。経験やスキルに応じた評価基準を明確にし、昇給や昇進などのキャリアパスを整備しましょう。

何を評価され、今後どのような役割を目指せるのかが分かれば、自身のキャリアを考えやすくなり、働き続ける意欲を支えることにもつながるでしょう。

併せて、上司との定期的な面談を設けるのも大切です。業務上の悩みや不満を把握し、必要な職場環境の改善につなげれば、より離職を抑えやすい体制を整えられます。

キャリアの見通しを持てる仕組みを整えるとともに、日々の悩みを相談できる機会を設け、職員が継続して働きやすい環境づくりを進めましょう。

給食に関する業務の総合支援サービスの活用

介護施設では、調理だけではなく、食材の調達や献立作成などさまざまな給食に関する業務が発生します。こうした業務の一部を外部サービスに支援してもらうことも、職員の負担を軽減する方法の一つです。

給食についての業務全体を見直す方法としては、主に完全調理品やクックチルの導入、食材調達の一元化、献立作成の外部委託の3つが挙げられます。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。

完全調理品やクックチルの導入

厨房の作業負担を軽減するには、完全調理品やクックチルを活用する方法がおすすめです。完全調理品は、再加熱や盛り付けなどの工程を中心に提供できるため、施設内で行う仕込みや調理作業を減らしやすいといった特徴があります。

またクックチルは、あらかじめ調理・急速冷却された食品を施設で保管し、提供時に再加熱する方法です。施設内での調理工程を減らせるので、特定の時間帯に作業が集中する状況を緩和できます。結果として、厨房スタッフの業務負担を抑え、勤務体制を整えやすくなる点もメリットです。

食材調達の一元化

食材調達にかかる負担を減らす方法の一つが、複数の仕入れ先から購入している食材をまとめて発注できる業者に切り替えることです。

仕入れ先が複数あると、業者ごとに発注内容や納品日時を確認したり、届いた食材を検品したりする必要があります。さらに、伝票や請求書も仕入れ先ごとに確認しなければなりません。

食材の発注や納品を一つの窓口にまとめれば、こうした作業の回数を減らせます。発注から納品、伝票・請求書の確認までを管理しやすくなるため、厨房スタッフや事務スタッフの負担軽減にもつながるでしょう。

献立作成の外部委託

献立作成にかかる業務負担を減らすために、外部サービスを活用する方法もあります。

介護施設の献立作成では、栄養バランスだけでなく、利用者の健康状態や食事形態などにも配慮する必要があります。こうした条件を踏まえて毎日の献立を考えるには、一定の時間や手間がかかるでしょう。

献立作成を外部に任せられれば、メニューを検討したり、献立表を作成したりする負担を減らしやすくなるでしょう。その分、管理栄養士などが利用者の栄養状態の確認や食事内容の調整などの業務に時間を充てやすくなります。

介護施設全体の業務改善を行い、働きやすい職場を目指そう

介護施設の人手不足に対応するには、人材の採用だけではなく、限られた職員でも業務を進めやすい体制を整えることが重要です。介護記録などの周辺業務を見直す他、介護ソフトや見守りセンサーの活用、人材が定着しやすい環境づくりなど、施設全体で業務改善を進めましょう。

給食に関する業務についても、調理方法や食材調達、献立作成の進め方を見直すことで、職員の負担を軽減しやすくなります。現場の状況に合った方法を取り入れ、無理なく食事提供を続けられるようにしましょう。

株式会社ニッカネでは、完全調理品やクックチルの提案、介護食から通常食材までをまとめて仕入れられる体制や三温度帯の一括配送、献立作成の支援などを行っています。人手不足を背景に給食に関する業務の見直しを検討している施設は、ぜひ一度ご相談ください。